こころびより
サイトキャラが日替わりで登場。 過去話や未来話・裏話などが書かれていたりします。 たまに小咄も?
2023
July 24
July 24
海を選んだのは失敗だったかもしれない。
夏なのでデート先に海を選ぶのは必然だ。
日に日に暑さは増していくし、水は冷たくて気持ちが良いし。
何より、夏特有の開放感を味わえる最適の場所だ。
ただ、同じように思う人が多いというだけで。
海の中も浜辺も広い海の家も人ばかりだ。
とはいえ―――。
「行こっか!」
隣の和希が笑顔で見上げてくる。
「そうだね」
せっかく来たのだから楽しむより他はない。
それに、さっさと水の中に入るに限る。
暑いから―――だけではもちろんない。
人を避けながら海へと入っていく。
脇に抱えていた大きな浮き輪を和希に渡すと、上手に上半身と両足を預ける。勇也は浮き輪ごと流されてしまわないように手を掛けておく。足がついて脇より上は海上にあるくらいの深さではあるが用心に越したことはない。
海水は冷たく感じるし、海風もあってやはり陸上よりは過ごしやすい。上空からの太陽は容赦ないのは変わりないが。
「気持ちいい~」
体勢を変えて、体の半分を海中につけた和希は浮き輪に預けた腕に顔を乗せて、幸せそうに呟く。その横顔がたまらなく可愛い。
つい、触れたくなって人差し指の側面で、その頬を撫でた。
「何かついてた?」
和希の目が勇也を捉える。体の芯が震える。
和希と特別な関係になってから半年は経つというのに、未だに和希の視線一つで気持ちが昂ぶる。毎回というわけじゃない。不意にそうした時が訪れるのだ。
たぶん、これは優越感と無関係ではないだろう。
彼女の特別な視線は自分にだけ向けられるのだという優越感。
和希は気付いていないが、いくつかの無遠慮な視線がずっと彼女を追っている。
それが和希の魅力のせいだとわかっているが、面白いわけがない。
早く海に入りたいと思ったのももちろんそのせいだ。
和希には見せびらかすつもりなど一切無く、自分に似合う水着を着ただけなのだろうが、それがどれだけ異性の目に刺激的なのかを全くもって意識していない。
勇也としては可愛い魅力的な彼女が、自分の為に張り切ってくれているのが嬉しいわけがない。ただそれを人目に晒すのはいただけない。
「何もつかないようにしただけだよ」
「何それ」
少しだけ怪訝そうな表情になる和希に微笑む。
和希は浮き輪から少し身を乗り出して、勇也の肩につかまるとその頬に軽く唇で触れる。
こんな人が多くいる場所で和希のほうからそんな行動に出るとは予想だにしておらず、何の反応もできないでいる勇也に、にんまり、としか言い様のない笑みを見せてくる。
「あたしも何もつかないようにしただけ」
「え?」
「あのね、ずっと視線を集めてるの、勇也のほうだからね」
―――これも夏がもたらす開放感の一つなのだとしたら、悪くない。
が、あんまり煽らないでもらえるだろうか。
今後はプライベートビーチとかプールの貸し切りとか考えた方がいいかもしれない。色んな意味で。
夏なのでデート先に海を選ぶのは必然だ。
日に日に暑さは増していくし、水は冷たくて気持ちが良いし。
何より、夏特有の開放感を味わえる最適の場所だ。
ただ、同じように思う人が多いというだけで。
海の中も浜辺も広い海の家も人ばかりだ。
とはいえ―――。
「行こっか!」
隣の和希が笑顔で見上げてくる。
「そうだね」
せっかく来たのだから楽しむより他はない。
それに、さっさと水の中に入るに限る。
暑いから―――だけではもちろんない。
人を避けながら海へと入っていく。
脇に抱えていた大きな浮き輪を和希に渡すと、上手に上半身と両足を預ける。勇也は浮き輪ごと流されてしまわないように手を掛けておく。足がついて脇より上は海上にあるくらいの深さではあるが用心に越したことはない。
海水は冷たく感じるし、海風もあってやはり陸上よりは過ごしやすい。上空からの太陽は容赦ないのは変わりないが。
「気持ちいい~」
体勢を変えて、体の半分を海中につけた和希は浮き輪に預けた腕に顔を乗せて、幸せそうに呟く。その横顔がたまらなく可愛い。
つい、触れたくなって人差し指の側面で、その頬を撫でた。
「何かついてた?」
和希の目が勇也を捉える。体の芯が震える。
和希と特別な関係になってから半年は経つというのに、未だに和希の視線一つで気持ちが昂ぶる。毎回というわけじゃない。不意にそうした時が訪れるのだ。
たぶん、これは優越感と無関係ではないだろう。
彼女の特別な視線は自分にだけ向けられるのだという優越感。
和希は気付いていないが、いくつかの無遠慮な視線がずっと彼女を追っている。
それが和希の魅力のせいだとわかっているが、面白いわけがない。
早く海に入りたいと思ったのももちろんそのせいだ。
和希には見せびらかすつもりなど一切無く、自分に似合う水着を着ただけなのだろうが、それがどれだけ異性の目に刺激的なのかを全くもって意識していない。
勇也としては可愛い魅力的な彼女が、自分の為に張り切ってくれているのが嬉しいわけがない。ただそれを人目に晒すのはいただけない。
「何もつかないようにしただけだよ」
「何それ」
少しだけ怪訝そうな表情になる和希に微笑む。
和希は浮き輪から少し身を乗り出して、勇也の肩につかまるとその頬に軽く唇で触れる。
こんな人が多くいる場所で和希のほうからそんな行動に出るとは予想だにしておらず、何の反応もできないでいる勇也に、にんまり、としか言い様のない笑みを見せてくる。
「あたしも何もつかないようにしただけ」
「え?」
「あのね、ずっと視線を集めてるの、勇也のほうだからね」
―――これも夏がもたらす開放感の一つなのだとしたら、悪くない。
が、あんまり煽らないでもらえるだろうか。
今後はプライベートビーチとかプールの貸し切りとか考えた方がいいかもしれない。色んな意味で。
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